働く訪問看護師のことば

現在就業中の訪問看護師にインタビューしました。

INTERVIEW

かがやき訪問看護ステーション

A.Y.さん

A.Y.さん

訪問看護で最初に学んだのは「人と人とのつながりを大切にすること」

これまでに大学病院で消化器外科と小児外科を経験し、別の病院で非常勤をした後、当ステーションで働くことになりました。訪問看護師としては初めての勤務で、非常勤からスタートして8年、常勤になり1年が過ぎました。
訪問看護の仕事を通じて、利用者さまだけでなく、ご家族、医師、地域のケアマネジャーさんをはじめ介護関係者など、どのつながりも大切にして良い関係性を築いていかなければ、在宅医療を担うサービスとして思うように成り立たないことを学びました。そのために、できるだけこちらから働きかけて対話をするように心がけています。
特に、利用者さまのお話しを聞くことは重要です。現在の困りごとやご希望を引き出し、表情から気持ちを察することで適切なケアを行い、医師や地域の介護関係者や、ステーションのスタッフと的確な情報共有をしなくてはなりません。

ライフステージに合わせた働き方ができる、ママに優しい職場

ステーションで働き始めた当時は、3人の子育て真最中でした。週2日の勤務、1日2件といったシフトにも、柔軟に対応をしてもらいました。とても相談しやすい環境で、自分の要望も伝えることができました。
ライフステージに合わせて働くことができるので、働くママに優しい職場だと思います。先輩たちからは、公私ともにアドバイスをいただきました。子育てに関して、「皆さん同じ経験をされてきたんだな」と思うと、気持ちが楽になりました。また、そのような状況であっても、一人の看護師として尊重して任せてもらえるので、やりがいも感じました。
働きやすかったおかげで、幼稚園の送迎や懇親会、学校行事にも参加することができました。ママ友との交流も深めることができ、一緒に子供の成長を見守ることができたのも有難かったです。いちばん下の子供が中学に入ったタイミングで常勤になったのですが、緊急対応で外出する時は、大学生になった上の子供を中心に、安心して家を任せることができるようになりました。子供たちが私の仕事に対して理解してくれているのが、何よりも嬉しいです。

オールマイティな対応ができる訪問看護師を目指したい

訪問看護では、高齢者の看護ケア、神経難病や終末期ケアなど、病院とは違って幅広い対応力が必要になります。常勤になってからも多くの症例をサポートしていますが、まだ、知識や経験が足りない部分があるので、これからさらに経験を積んでオールマイティな対応ができる看護師を目指したいです。
以前、災害支援ナースに登録をしました。救急対応ができるようになれば、訪問看護にも役立ち、看護師としてより自信をもって行動できると考えたからです。一次救命処置の研修も受けました。今後は、学びを活かした活動にも参加してみたいと思っています。

INTERVIEW

あかしあ訪問看護ステーション

M.T.さん

M.T.さん

先輩と訪問した看護先で「訪問看護は楽しい」という気持ちが芽生えた

訪問看護師になる前は、大学病院やクリニックにトータルで10数年勤務しました。大学病院では、急性期や慢性期の内科に勤務していたことがあり、その時は処置や検査などの業務に追われ、ナースコールをすぐに取ることができないくらい忙しい毎日を送っていました。 その後、出産を経てクリニックに勤めたのですが、そこでは高齢者施設を中心に訪問診療を行っていました。一緒に働いていた先輩が訪問看護の経験がある方だったので、様々な話を聞くうちに次第に訪問看護に対する興味が湧いてきました。しかし、当時の私のキャリアでは「ハードルの高い仕事」のイメージがありました。 クリニックを退職する頃に、先輩に連れられて訪問看護をする機会がありました。初めてでしたが、先輩から看護の手順を丁寧に教えていただいたこともあり、緊張することなくスムーズに行うことができました。時間の制約の中で決められたことだけをやるのではなく、利用者さまの話しを聞き、いろいろと工夫しながらケアを行う訪問看護は、私にとって新鮮で「楽しい」と思える経験でした。それを機に「次は訪問看護職に就こう」と考えるようになりました。

利用者さまの体調や気持ちを察しながら、最善のケアを考える

クリニックを退職してから、別の訪問看護ステーションで1年ほど勤務した後、あかしあに転職しました。
いま振り返ると、大学病院勤務時は、患者さまの日常の生活状況の理解が十分でなかったため、個々の実情に即した対応ができていなかったのではないか、と感じています。訪問看護ではケアの方針や内容は決まっていても、その時々の状況に合わせて臨機応変に対応することが求められます。たとえば、利用者さまのご希望によって「今日は体を拭かないで、足だけ洗いましょう」ということもあります。
在宅では病院と違って入院時のルールや消灯時間もないので、利用者さまもリラックスして生活していらっしゃいます。会話を通じて利用者さまの体調や気持ちを察しながら、日々のケアに努めています。「あなたが来るのを待っていたのよ」とおっしゃる利用者さまの言葉を聞くと嬉しさとともに「今日も頑張ろう」という気持ちになります。

訪問看護には正解がないから、自分なりの答えを求め続けていきたい

ステーションに入所する前まで、訪問看護の現場では自分で判断しなくてはいけないので、何十年もキャリアを積んだベテラン看護師でなくてはできない仕事だと思い込んでいました。しかし、実はそうではなく、困ったら相談できるスタッフ、医師やケアマネージャーさんをはじめ、連携する相手がたくさんいる「チームで行う仕事」であることに気づきました。
それから、訪問看護には正解がありません。利用者さまにタバコやお酒を禁じても、相手にとってはストレスに感じることもあるでしょうし、逆に禁じないことで頑張ってもらうことができるかもしれません。自分にとって正解だと思っていたことが相手にとって必ずしも正解だとは限らない。人のために、自分なりの答えを探し続ける訪問看護の仕事に、奥深さと魅力を感じます。今ではこの仕事に思いきって飛び込んでよかったと思っています。

INTERVIEW

おおいそ訪問看護ステーション

A.H.さん

A.H.さん

訪問看護と出会い、「自分に向いている仕事かもしれない」と強く感じた

神奈川県内の大学病院や総合病院で、看護師として6年間勤務しました。病院では血液内科、脳神経外科、外科、内科などを経験した後、夫の仕事の関係で名古屋へ転居し、そこで初めて訪問看護職に就きました。
前の病院に勤務していた時、訪問看護に理解のある医師や訪問看護経験のある看護師が多かったことから、在宅医療について様々な話を聞く機会に恵まれました。そうしたことがきっかけとなって、実際に訪問看護師として働いてみると「自分には病院勤務より訪問看護のほうが向いているかもしれない」という思いが強くなりました。夫とともに神奈川に戻ることが決まった時には、迷うことなく、訪問看護師として働く道を選びました。

利用者さま、ご家族、それぞれの気持ちに寄り添いながらのケアを心がける

訪問看護では、利用者さまとご家族、それぞれと信頼関係を築くことが大切だと思っています。利用者さまのケアでは、その人らしい毎日が送れるよう、生活のリズムを崩さないように心がけています。また、痛みや辛さをいかに理解し、和らげることができるかも重要な役割なので、日々試行錯誤しながら取り組んでいます。
ご家族とは「どのような看護を望んでいるのか」をきちんと話し合い、「これだったらできそう」「これは現実的には難しいかも」と、実情に沿ったアドバイスしながら、なるべく希望を叶えられるようにしています。
たとえば、ご家族の中には、利用者さまに帰って来てほしいけれど、おむつ交換などの世話に抵抗がある方もいらっしゃいます。そのような場合は、介護士さんと連携して、それ以外のことでご家族が関われるよう調整しています。利用者さまとご家族の満足そうな顔を見ると、自分の判断が間違っていなかったと安堵するとともに、少しずつですが自信もついてきました。

在宅分野の専門知識を身につけ、いずれは認定看護師として働きたい

訪問看護の仕事にやりがいを感じていますが、仕事ですから当然たいへんなこともあります。以前の私は帰宅しても仕事のことが頭から離れず、不安になることがありました。今は職場から一歩外に出たら、上手に切り替えられるようになりました。プライベートと分けて考えることで、仕事に対するモチベーションも上がり、良い影響が出ていると思います。
現在、非常勤として働いていますが、仕事はこれからもずっと続けていくつもりです。私は病院に勤務していた頃、いくつかの診療部門を経験してきたので、そこで得た知見が訪問看護に役立っていると感じることがあります。ですが、何かに特化している訳ではないので、在宅分野の専門知識を深め、認定看護師の資格を取得したい。利用者さまに対して、認定看護の専門分野で一歩踏み込んだケアができるようになりたい、と考えています。

INTERVIEW

洋光台訪問看護ステーション

R.O.さん

R.O.さん

訪問看護の良いところは、利用者さま一人ひとりと向き合えること

地方で病院勤務をしていた時、先輩に勧められたのがきっかけで訪問看護職に就きました。それまで経験したことがなかったので、当初は先輩と同行しながら仕事を覚えていきました。
訪問看護は病院と違って、利用者さま一人ひとりと、じっくりと向き合うことができます。利用者さまの病状の経過を見ながら看護ケアができるだけでなく、日常会話などコミュニケーションがとれるのも魅力です。最初のうちは緊張して表情が硬かった利用者さまが、今までの人生についてのお話しや、趣味やご家族のお話などを楽しそうに話されるのを見ると、こちらまで嬉しくなります。利用者さまの笑顔が増えることは仕事をする上で励みになりますし、良い状態が少しでも長く続けばいいなと思いながら、日々、学んでいます。

利用者さまの笑顔が仕事のモチベーションを上げ、自信につながる

これまでに多くの訪問看護に携わってきましたが、その中で印象に残っているのは呼吸機能の低下で看護ケアをしていた女性の利用者さまです。最初はお風呂も酸素吸入をしながらやっとの思いで入っていたのですが、リハビリを重ねていくうちに呼吸機能が落ち着いてきました。ある日「散歩に行きたい」とおっしゃるので、一緒に散歩を始めました。酸素吸入の管を外したばかりだった頃は、家の近くを歩いただけで「疲れた」とおっしゃっていたのが、少しずつ距離を延ばし30~40分歩けるようになり、そのうち一人でバスに乗って外出するまでに回復されました。
80歳のお誕生日には、ご家族と熱海の温泉に出かけたそうで、「誕生日のお祝いをしてもらった」と嬉しそうに話されていたのが印象的でした。利用者さまの頑張りが一番ですが、そのサポートを適切に行えたことは、私の仕事に対する自信にもつながりました。

より高度な資格を取得して、訪問看護職を極めていきたい

ステーションには、私より経験豊富な先輩たちが数多く在籍しています。日々の訪問看護の中で、困ったことがあれば気軽に質問ができて、職場はいつもアットホームな雰囲気です。時には先輩の訪問先に同行し、現場で教えてもらうこともあります。また、職場内の勉強会や看護協会主催の研修が充実しているので、誰もがスキルアップできる環境は整っていると思います。これからも勉強会や研修に参加して、自分自身の能力を磨いていきたいです。 また、先の目標として、特定認定看護師の資格取得を目指しています。この資格を取得することで、特定分野でより専門的な知識と技術をもち、今より高度な医療行為を行うことができるようになります。そうしてより深く、訪問看護に携わっていけたらと思っています。

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